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はじめに
“リウマチは一生の伴侶”というリウマチ体験集「ながれ」の中にある患者さんのこのことばは,慢性関節リウマチ(RA)という疾患を,またその疾患を持った人の生活態度をなんと如実に示したことばであるかと印象深く残っている.
RAは未だ原因が不明で,受ける治療は対症療法であり,病気の性質は進行性である.それ故に,「あそこの温泉はよい」,「あの薬はよい」,「あの病院はよい」等々,少しでも「よい」とつく物にとびついていきたくなる心理は当然であろう.しかしその結果が医療不信を起したり,又 将来に対して絶望的になったりすることは否めない.
私達,医療チーム・メンバーは,患者が入院してくるまでの経過――どのような治療を受けていたのか,どのような家庭環境にあったのか,どのような生活態度で暮してきたのか等々――をまず知らなければならない.その上で,今後,いかにして原因不明のRAという疾患と共に歩んでいくかということを,チーム・メンバー一人一人が患者と共に考え試行し,且つ患者自身の中で整理できるよういろいろな角度からアプローチしていかねばならない.
チームの一員としてのOTのアプローチをあげるならば,1.障害に打ち克つための心理的サポートをすること,2.罹患関節のROM制限の予防と矯正をすること.3.罹患関節周囲の筋萎縮の予防と回復をはかること.4.罹患関節を,主にスプリントによって保護すること.5.ADLの可能な限りの独立を獲得させること.6.整形外科的手術前後の訓練の指導をすること.7.退院後の指導をすること等となるであろう.
RAという疾患の性質からどの項目一つ取り上げても大きなテーマになるものである.今回は紙数の関係上,現在当院のOTで行なっていることの紹介やOTを行なっていての問題点,課題等にしぼって述べていきたい.
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