- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
OT協会が設立されて今年で8年目を迎える.会員の殆んどが病院・施設に勤務しており,その中でいろいろな問題に各会員が遭遇しているであろうことは容易に想像がつく.問題を抱えた中で,その解決のための具体的行動をどのように起したらよいのか……これがわれわれの常の課題なのである.
今迄にも教育の問題,OT専門性の問題,評価の問題,チームワークの問題等々が討論会,分科会,研修会等で話し合われてきた.今回第7回学会に「地域社会と結びついたOTを行なうために―現状分析―」というテーマを取り上げたのは,リハビリテーション(リハ)を推進していく上で施設内ケアーの限界を感じているOT諸氏の声をアンケートで知ったこと,又,地域医療・包括医療についていろいろな角度から取り扱われている時期でもあることから,われわれがOTという立場でこの問題をどのように捕えるべきかを考えたいからであった.シンポジウムのタイトルにある「地域社会」をどのように定義づけるかについては,地域社会の解釈の仕方は980種もあるとのことで,このことだけを論議することはあまり意味がないと考え,発言者が考えている「地域」の概念をもとに意見を述べていただいた.
シンポジウムの目的は,先にも触れたが,現在「地域と結びついた医療の必要性」を強く感じ行動を起しておられる方々から具体的な活動内容と当面している問題を述べていただき,OT各自が現状をふまえた中で何が出来るのか,又何をしなければならないのかを考えていく素材とすることであった.
発言者には下記の6名の方々になっていただいた.
福岡県特別養護老人ホーム悠生園,MD 田中多聞
神奈川県厚木保健所長 前田 実
神奈川県綾瀬町保健婦 葉梨美子
川崎市社会復帰センター,PSW 今井 功
患者家族 福井孝善
宮城県拓杏園,作業療法士 花村 都
当日のテープを再び聞きなおし今更ながら大きなテーマに取り組んだものだと感心(?)してしまっている.
2時間余のシンポジウムの内容を限られた紙面の中で各発言者の活動の場の違い,又その特徴を上手く表現できるかどうか自信がないが,発言者順に発表された内容を私なりに簡単にまとめて紹介していきたい.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.