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はじめに
カナダは日本の27倍の国土をもちその中に9つの州と2つの準州があり,全人口は日本の6分の1の2千万,英連邦内での自治権承認を受けてやっと110年という若い国である.私が一年間働いていた所は太平洋に面したブリティシュ・コロンビア州(B.C.州)で,この州ではPT,OTが大学で養成され始めてまだ10年しかたつていない.それ以前にはdiploma courseもなく英米国や他州からの療法士にたよっていた.カナダOT協会のB.C.支部では州政府に対して免許制度を取り入れOTの名称独占をと運動を進めていた.
これから紹介するのは,B.C.州バンクーバーにあるThe Arthritis Center(図1)で働いていた時の経験で,タイトルのごとく「カナダ」総体をさして述べるものでないことを始めに断っておきたい.カナダは各州により制度が異なり医療制度も然りで,B.C.州ではPTは保険で治療費が1回7ドル50セントと少ないがカバーされている.しかしOTにおいてはゼロである.
Canadian Arthritis and Rheumatism Society(C.A.R.S.)が見積ったOTの訪問指導にかかる費用は1回約30ドルである.OTが活動すればする程赤字が増え,管理者達は寄付金集めや州政府からの助成金獲得に大童となるのである.C.A.R.S.の名を使用しての論文発表,テレビ出演,講義等で得る収入はC.A.R.S.の運営資金にまわされる程であった.
法的なことにしても,研究にしても日本の方が進んでいると再確認したことも多くあったが,「北米に唯一の組織体」と自負するだけあり患者に手をさし伸べる意欲・サービス精神は並々ならぬものがあった.
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