Japanese
English
研究と報告
幼児の模写能力について
Ability of describing in child
池田 俊雄
1
Toshio IKEDA
1
1水俣市立病院付属湯之児病院リハビリテーションセンター
pp.421-424
発行日 1973年6月15日
Published Date 1973/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100642
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はじめに
幼児は成長に伴い周囲の環境や経験により種々の能力を伸ばし自分のものとする.模写の過程は対象物を観察し次に求心性の刺激を経て中枢で統合し,遠心性の刺激により筆を運び紙上に描くと考えられる.上記の一連の流れの中に障害や未発達の部分があると当然紙上に描かれるものにひずみが生ずる.
運動系の障害を持つ幼児は日常生活が自立しない.歩行不可能等の外観で発見されやすいが精神遅滞や知覚の未発達などの問題は外観でわからないため簡単に発見されにくい.
ここで記す知覚(perception)は感覚(sensory)とは異なり空間の深さあるいは距離を判断したり,視野にある自分の位置を判断したりする能力をさしている.幼児の知覚の発達は正常発育に伴い模写能力は知覚の発達と大いに関係すると言われている.
幼児に数字やひらがなを書かせると‘6’を‘∂’としたり‘く’を‘〉’と書くのを見ることがあるがこれも一種の知覚の未発達より生ずるものと思われる.
今回私達は保育園,幼稚園に通っている幼児約200名について模写を行なわせ,いくつかの興味あるものを見たのでここに方法,結果を記してみます.
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