Japanese
English
特集 体幹機能
片麻痺の体幹機能
Trunk Movemnent: Trunk Movement in Hemiplegia
冨田 昌夫
1
,
佐藤 房郎
1
,
宇野 潤
1
,
相馬 光一
1
,
北村 啓
1
,
江原 義弘
2
,
別府 政敏
2
,
野村 進
2
,
国見 ゆみ子
2
,
安藤 徳彦
1
Masao TOMITA
1
,
Fusao SATO
1
,
Jun UNO
1
,
Koichi SOUMA
1
,
Kei KITAMURA
1
,
Yosihiro EHARA
2
,
Masatoshi BEPPU
2
,
Susumu NOMURA
2
,
Yumiko KUNIMI
2
,
Norihiko ANDO
1
1神奈川リハビリテーション病院
2神奈川県総合リハビリテーション研究
1Kanagawa Rehabilitation Hospital.
2The Kanagawa Rehabititation Institute.
pp.88-94
発行日 1991年2月15日
Published Date 1991/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103199
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Ⅰ.初めに
片麻痺の治療に際して,“どうして”と考え込んでしまう現象があまりにも多すぎる.例えば端坐位で骨盤を直立し,体幹を伸展位に保持できる患者がいざ動こうとすると骨盤を後傾し体幹を屈曲してしまい,立ち上がったり,体重を左右に移動するとき骨盤の前傾,体幹の伸展が引き出しにくいことは誰しも体験することであろう.さらに不思議なことには,坐位で健側へ体重を移動するとき患側体幹筋を活動させて立ち直ることができる患者でも,患側へ体重を移動したときには体幹を健側へ側屈させて立ち直る動作をしない場合が少なくない.口頭で指示を与えれば側屈可能であるので,当然のことながら健側の体幹側屈筋群の働きが無いわけではない.それが反応として起こらないのである.
端坐位で骨盤を後傾し,円背となりあたかも筋活動が少なくて重力で押しつぶされたように見える患者が,動こうと構えた瞬間に,頸部や胸郭の体幹屈筋群および健側下肢の筋活動が過剰になりやすい.このような患者の体幹を他動的に動かそうとすると体幹と健側下肢とが一つの塊となって動いてしまうこと,そのとき下肢の力を抜きにくいことなどはなかなか理解しにくい現象ではなかろうか.
これら一見関連の無いようにみえるさまざまな症状も,片麻痺の平衡反応の特異性からみていくと共通した点が多くなる.現在われわれが進めている実験結果を引用し,片麻痺の運動の特徴と運動療法に関して述べていく.
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