Japanese
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特集 運動分析
片麻痺患者における非麻痺側肢の運動分析
Kinematic Analysis of the Non-Paretic Limbs in Hemiplegic Patients.
佐野 精司
1
,
蓮江 國彦
1
Seiji Sano
1
,
Kunihiko Hasue
1
1日本大学医学部整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Nihon University School of Medicine.
キーワード:
片麻痺
,
非麻痺側肢機能
Keyword:
片麻痺
,
非麻痺側肢機能
pp.201-207
発行日 1979年3月10日
Published Date 1979/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104123
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はじめに
片麻痺患者における麻痺側肢の機能については,従来から数多くの検索が行われてきているが,それに比べ非麻痺側肢の機能面についての検討は少ない.
Cohn(1951)は片麻痺患者の非麻痺側上肢が,回内・回外運動速度およびその協調性が,麻痺側上肢と同じく同時に動かした際,低下したことを報告している.Wortis(1951),Hirschberg(1952),Marks(1953)らは片麻痺患者の歩行研究において,非麻痺側下肢のmuscle activity,segmental displacement,floor forcesに終始異常パターンが認められ,これらが麻痺側下肢の異常パターンに,きわめてよく類似していると報告している.
Thomas(1961)らは,Thomaset試験(上肢の随意運動動作を個々に実施し,それに要した時間を測定するもの)を行って,健常人対照群の上肢と片麻痺患者の非麻痺側上肢とを比較した結果,非麻痺側上肢機能は正常群に比べ,低下していることを報告した.またJebsen(1971)らも,片麻痺患者の非麻痺側における手の機能が,健常人と比較して低下していることを報告している.
このような観点から著者らは,片麻痺患者の非麻痺側肢機能を評価するために,日常生活動作の中から適当な被検運動を選んで検索した.すなわち,片麻痺患者の非麻痺側肢と健常な同年齢の対照群とを比較することにより,片麻痺患者の非麻痺側肢機能が,いかなる状態にあるのか,またこれらの機能が経時的に変化するかどうか,さらにリハビリテーションにより,その機能が改善されうるかどうかなどを検討してみた.
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