特集 中耳真珠腫最新の知見—病態から治療まで
序
pp.769
発行日 1987年10月20日
Published Date 1987/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210377
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耳鼻咽喉科領域における感染症,とくに慢性化膿性中耳炎,慢性副鼻腔炎の病態は最近の20年間に著しく変化している。この現象は日本のみならず,いわゆる医療先進国でとくに著しいものがある。しかし耳科学領域ではいまだに真珠腫性中耳炎の存在は減少せず,なかでも先天性真珠腫症に多くの関心が集められてからは,多数の症例が報告されて真珠腫症発見症例の頻度はむしろ増加しているようにもみえる。これらの傾向は欧米諸国においても同様であるが,真珠腫の成因,病態病理,とくに骨融解の機序などについての最近の研究は著しい進歩を遂げている。
1976年米国で第1回国際真珠腫学会が開催され,世界各国の耳鼻咽喉科医ばかりでなく,基礎医学研究者,皮膚科医などが集まって真珠腫の成因,疫学,病理,治療などについて広範囲な研究報告と討論がなされた。この学会を契機に世界各国で真珠腫研究の関心が今まで以上にたかまり多くの臨床研究が行われて,発表された論文数も急増した。いまや耳科学,とくに耳科手術における真珠腫というテーマは最も重要であり,しかも緊急に解決のせまられている課題となっている。
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