特集 癌の臨床検査
序
河合 忠
1
Tadashi KAWAI
1
1自治医科大学臨床病理学講座
pp.1243-1244
発行日 1989年10月30日
Published Date 1989/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917590
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癌は,いまやわが国における死因の第1位にのし上がり,年間約20万人が癌によって死亡している.癌の本質はいまだ解明されておらず,進行癌に対する決定的治療法がない.しかし,早期に発見し,完全に摘出することによって,完治しうるようになった.それは主として,一般住民の健康意識が高揚し,検診が普及したために,無症状の早期癌が発見されるようになったことによる.この意味からも癌の臨床検査の重要性はますます増大している.そこで今回は「癌の臨床検査」を本誌増刊号のテーマとして取り上げることになった.もちろん,癌という病気について不明な点が多い現状では,系統立った特集内容は望むべくもない.しかし,近年,遺伝子レベルでの研究がかなり進んでおり,それの癌診断応用への展望も見えてきたので,不備な点は多いとはいえ現時点での知見を集大成する意義が十分にあると考えたのである.
「癌の臨床検査」というと,大きく二つの立場から考えられる.一つは"癌であるかどうか"を知るための臨床検査であり,もう一つは"癌とわかった場合に担癌生体がどのように侵食されているか"を知るための臨床検査である.
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