主題 電解質・非電解質の能動輸送・1
序
星 猛
1
1東北大学医学部生理学教室
pp.54-55
発行日 1972年4月15日
Published Date 1972/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902918
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細胞の形質膜が独特の物質透過特性をもち,ある種の基本的に重要な電解質に対して能動輸送する機構を備えていることは周知のことである。またある特定の細胞は特定の物質または物質群を能動的に輸送する機能を備えており,それがその細胞の関与する吸収,分泌,排泄,刺激伝達機能に重要な役割を演じていることも多く知られている。しかしこれら生体膜での物質輸送の機構については,輸送が超微細構造である形質膜での現象であり,あるものは細胞内での化学反応と連結し,またあるものは細胞内イオン条件などに影響されるため,その細かな点については未だ多くの解明さるべき問題が残されているように思われる。
今回「電解質・非電解質の能動輸送」が主題にとり上げられ,幾つかのトピックスについて解説されることになつたが,この分野での今日の問題点を指摘する前に,大略の物質輸送に関する概念の歴史的変遷のスケッチをし,その流れと今回の問題点との関連を見て見たいと思う。
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