特集 副鼻腔炎の保存的治療の検討とその限界
自然孔の病態について
深水 浩三
1
,
松根 彰志
1
,
松崎 勉
1
,
宮崎 康博
1
,
昇 卓夫
1
1鹿児島大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.295-299
発行日 1987年4月20日
Published Date 1987/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210293
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I.はじめに
副鼻腔炎に対する保存的療法としては薬物療法やネブライザー療法,洞洗浄などの治療が日常診療で行われている。しかしながらこれらの治療によっても容易に治癒しない例も少なからず経験されるところである。これらの症例に対してわれわれは保存的外科療法の一つとして,洞粘膜を可及的に温存し自然孔および中鼻道を開大することに重点を置いた内視鏡下上顎洞レーザー手術を行ってきた1〜3)。これは副鼻腔炎の発症に自然孔が大きく関わっており,治療にさいしても当然重要な位置を占めるという考え方に基づいている。今同われわれはこの点に注目し,その基礎的研究として実験的副鼻腔炎家兎4〜7)を用いて自然孔周囲粘膜の組織学的検索を行った。その結果興味深い知見が得られたので,これまでの本法の臨床治療成績を述べるとともに若干の文献的考察を加えて報告する。
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