特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで
Ⅳ.耳鼻咽喉科医が知っておきたい形成手術―秘伝を用いた小手術
1.気管孔の閉じ方,気管孔の拡大
塩谷 彰浩
1
1防衛医科大学校耳鼻咽喉科
pp.128-132
発行日 2009年4月30日
Published Date 2009/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101429
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Ⅰ 気管孔の閉じ方
通常の気管切開後の気管孔は,気管カニューレを抜去すれば,自然閉鎖することが多い。しかし,
(1)気管切開が長期に置かれた場合
(2)甲状腺癌気管癒着・浸潤例における気管皮膚瘻形成後
(3)放射線治療後に施行した喉頭部分切除後の喉頭皮膚瘻形成例
(4)感染防止などの理由で,頸部手術創と気管切開孔との交通を遮断するため,気管全周縫合(気管開窓)した場合
などにおいては,気管(喉頭)皮膚瘻は全周にわたって上皮化して自然閉鎖しないことが多く,外科的な閉鎖術が必要となる。この閉鎖術においては,単純に皮膚を寄せて縫合閉鎖するのではなく,瘻孔面の気道上皮が欠損している部分を,頸部皮膚を翻転させて上皮を補い,raw surfaceを作らないように閉鎖しなければならない。すなわち,気管粘膜面,頸部皮膚面の2面の閉鎖となる。ここでは局所皮弁を用いた気管(喉頭)皮膚瘻閉鎖術について症例を呈示しながら述べる。
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