特集 副鼻腔炎の保存的治療の検討とその限界
実験的副鼻腔炎の意味するもの
川堀 眞一
1
,
金井 直樹
1
,
林 浩
1
1旭川医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.289-293
発行日 1987年4月20日
Published Date 1987/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210292
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I.はじめに
副鼻腔炎の成因,慢性化にはいろいろな因子が関与している。その中でも細菌の感染は最も重要な因子の一つである。ヒトの慢性副鼻腔炎における細菌の有無,菌種および組織像については多数の報告をみる。しかし生検あるいは手術時の組織所見は経時的に調べたものでなく,いわば病変の過程における一断面をとらえていると思われる。細菌感染による副鼻腔内病態の変化,治療による変化などを経時的に観察するためには動物実験が必要となる。実験的副鼻腔炎作製およびその組織所見は先人たちにより多数報告されている。その多くは簡単な処置では長期に炎症を持続させることは難しいと報告している。しかし最近前山1),大山ら2)により実験的副鼻腔炎を作製し,薬剤投与における形態学上の変化まで報告されている。
今回前山らの方法1,2)に準じ実験的副鼻腔炎を作製し,細菌存在の有無と組織像および抗生剤注入の処置,栄養の問題を検討し,実験的副鼻腔炎の意味するものについて一側面からではあるが考えてみたい。
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