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I.はじめに
一般に滲出性中耳炎(滲中と略す)とは中耳腔に貯留液が存在し鼓膜に穿孔がなくしかも急性症状を呈さない病態と理解されている。その発症の機序については種々論議されているが,その中でも急性中耳炎(急中と略す)と滲中とは臨床的には深い関係があると考えられている1〜4)。しかしながら急中罹患後の滲中発症に関する臨床報告は少なくその実態は具体的には理解されていないことが多い。とくに本邦における研究は少ない。本報告は幼小児における急中罹患後の滲中の発症頻度を明らかにし,これらの情報をもとにして急中と滲中との関係さらには滲中の病因病態を検討することを目的とした。
一般に滲中の症例の中には急中の急性症状すなわち発熱,耳痛,鼓膜発赤などが消退後連続的に引き続いて長期間中耳腔に貯留液の認められる病態を示す症例5)と急中からの連続性を認めえぬ病態6)のものと2群が存在し,後者は老人に多いと経験的に知られている。しかしながら小児においても後者の症例はしばしば観察され,とくに学童の集団検診で発見される滲中症例は無自覚で急中との連続性を否定できるものが大部分である。またこれらの症例では過去に急中の既往のあった者のほうが統計的に有意に多い7)。
After primary acute otitis media (AOM) was cured, 238 children (328 ears) were examined at least once a month for two years.
47 cases (14.3%) and 85 cases (25.9%) of the 328 ears with AOM had suffered from secretory otitis media (SOM) within one year and two years after the first attack of AOM respectively.
Noticeable differences were demonstrated in the incidence of SOM among the age group. The 0-1 and 4-5 years old groups had higher incidence of SOM than the other age groups.
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