鏡下咡語
当院における「耳の銀行」Ear Bank—現状と問題点
鳥山 稔
1
1国立病院医療センター耳鼻咽喉科
pp.220-223
発行日 1984年3月20日
Published Date 1984/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209756
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眼科領域では,すでに角膜の移植のために,それらを採取・貯蔵し,さらにこれら角膜を必要とする患者のリスト,また角膜を献体する健康人のリストなどを保持している。Eye Bank・眼の銀行が,諸外国はもとより,わが国においても昭和34年に設立され,視力障害者のために大きな福音となってきた。また近年は,腎臓・心臓の移植も行われ,とくに腎臓移植については腎移植センターも,または腎臓の銀行などが企てられ,法律もこのために,昭和54年に改正されてきた。
一方,耳,とくに鼓膜,中耳,内耳,などの障害,いわゆる聴覚障害者は,わが国では,60万人以上といわれる。人口100万人である川崎市で,昭和57年度末に1,503名であった。これら聴覚障害者の中の約20%は中耳炎などによる伝音性の難聴が,感音難聴に合併していることがわかっており,筆者1)らが,川崎市更生相談所で調査した結果では,聴覚系身体障害者183名中43名,約23%がいわゆる混合性の難聴者であった。
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