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I.はじめに
筋膜で再生した鼓膜を術後数年間以上観察していると,耳管はよく開存しているにもかかわらず,次第に鼓膜が薄くなり,鼓室内の構造がすけて見えてくる場合が時にみられる。また,これ程ではないにしても,長期間,新生鼓膜をみていると,かなり非薄化していくものである。このような場合,コルメラとしての自家耳小骨,または自家軟骨の新生鼓膜に接している部分の輪郭がかなり明確に観察され,またやや突出気味になってくる例は稀ではない。幸い,自験例では鼓膜をつき破り,外耳道に排出された例はないが,このような所見から,筆者らは今まで,連鎖材料としては,すべて自家残存耳小骨,耳珠軟骨,耳介軟骨等,患者自身から術中に材料を採取して,連鎖の再建を行ってきた。しかし,術者自ら術中に加工しなければならないこと,加工したものの出来,不出来があり得ること,術後の聴力が必ずしも期待通りではないこと等より,昨年頃よりPORP,TORPを試用してみる機会が多くなった。1つには内外を間わず追試報告が多数行われ,かつ,その安全性,安定性が確認されつつある状況にもよる1〜7)。
今回,筆者らは昭和57年1月より現在まで,PORP 17例,TORP 4例の計21例の使用を行い,最長15ヵ月観察を有い,術後聴力は一応満足のできる結果が得られたので,過去筆者らが主として行ってきたincus interposition8)の成績と対比しつつ報告する。
We reviewed 21 cases in which Plastipore® prostheses were used for ossicular reconstruction. In all cases, a piece of cartilage was inserted between the prosthesis and the tympanic membrane graft to prevent prosthesis extrusion. Five cases in which the preoperative bone conduction level was more than 31dB were excluded from analysis.
In 12 out of 14 PORPs (86%), the air conduction level was improved to within 30dB and the air-bone gap within 15dB. In two TORPs (100%), the improvement was similar in both aspects. These results were better than those obtained previously with incus interposition technique.
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