特集 耳鼻咽喉科CT診断
CT読影の実際
神経耳科領域
小松崎 篤
1
Atsushi Komatsuzaki
1
1東邦大学医学部耳鼻咽喉科
pp.795-802
発行日 1982年10月20日
Published Date 1982/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209507
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I.はじめに
神経耳科領域では,以前よりその取り扱う対象として,単に第8神経末梢部の疾患のみならず,中枢神経系の病態を扱ってきた。それらの病態のなかには,聴神経腫瘍,小脳や脳幹の諸種疾患などがあり,その疾患によって出現する聴覚障害,眼振や異常眼球運動,身体の重心動揺などの病変部位の差異による症候学的差異を検討してきている。諸種の機能的検査法にこれらの疾患がどのように反映するかの検討は,神経耳科学の進歩に貢献しているといえる。そしてさらに,諸種の中枢神経系の疾患に対しては神経耳科学的な機能検査の他に,病変を明視化する検査法として,神経放射線学的検査法があった。それらの代表的なものは脳血管写であり,気脳写であった。それに対して,CT scanの出現は,より少ない侵襲で大きな情報がえられ,神経耳科領域に果たしている役割はきわめて大きいといわなければならない。
ただ,ここでもっとも注意しなければならないことは,CT scanを過大評価しないことであり,また機能検査の重要性を再確認することであろう。
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