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これまでの報告で聴平衡覚所見8),内耳道後頭蓋窩造影法9)を中心に聴神経腫瘍(以下ATと略す)の早期診断についてのべてきた。このようにして早期に診断された中等大以下の腫瘍に対しては,腫瘍が内耳道内に限局していれば中頭蓋窩経由法(以下MF法と略す)を,また後頭蓋窩に2.0cm程度進展している腫瘍に対しては経迷路法(以下TL法と略す)を行なつてきた。しかし,このような手術法に対しては神経耳科的立場からのみならず脳外科的立場からも批判,検討が加えられている2)11)13)15)。内耳や内耳道疾患の外科的治療という意味で神経耳科的手術という名称を付すならば,このようなMF法やTL法の適応となつた例は最近7年間のAT 35例中40%である8)(第5表)。二次的手術例を除くならば約30%にすぎない。技術の進歩により,HouseらのグループではTL法によりほとんどの腫瘍が摘除可能である6)。しかしわれわれの少数の経験例からではあるが,後頭蓋窩に2.0cm以上進展している例ではTL法か後頭下法のいずれを選択するかの判断は症例にもよるが仲々困難であつた。そのため経迷路法で摘出できず,二次的に後頭下法を行なつた例も経験された。また中頭蓋窩経由法で摘出可能と思われた例で,実際には腫瘍が後頭蓋窩に進展していたため二次的に経迷路法が施行された例も報告されている4)。しかし中頭蓋窩経由の適応例と誤診した例でも,一次的に中頭蓋窩より迷路を部分的に削開し,硬膜にも切開を加え摘出された報告もあり4),われわれも同様の経験例をもつている。Bechenekらはこの方法を発展させ拡大中頭蓋窩法としATに対する手術的アプローチとして用いうることを報告した7)。しかしわれわれはBochenekらの方法では,なお術野が狭いので,骨削開の範囲をさらに拡大し,終局的に,視野の点では後述するMorrisonら12)の方法と同じくテント切開を加え,彼らとほぼ同様な術野を得るようにした7)10)。
この方法は後頭蓋窩に進展した中等大以上の腫瘍に対して,耳科医と脳外科医がチーム・ワークによつて行ない得る手術法と考えるので,ここにその経験を報告する。
The surgical technique for removal of various sized acoustic tumors, small, medium and large, is briefly described. Although surgical approach must be determined according to the size of the tumor, in some cases a second stage operations are necessary. In neuro-otologic surgery the surgeon is constantly faced with a problem in selecting the type of operation according to the size of the tumor and in which that requires a second stage operation because the size of the tumor being larger than that which was anticipated or difficult to exterpate.
Under these circumstances, the authors have combined the methods of Morrison and King and that of Bochenek and Kukwa for removal of large tumors.
The authors have modified the Morrison's method by first exposing the temporal lobe by elevating the bone flap instead of drilling out the mastoid. And, also extended Bochenek's approach by removing the whole labyrinth until the posterior fossa dura and sigmoid sinus are exposed.
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