目でみる耳鼻咽喉科
耳管通気法による中耳腔交通路障害の診断
桜井 時雄
1
1磐城市立総合磐城共立病院・耳鼻咽喉科
pp.740-741
発行日 1982年10月20日
Published Date 1982/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209499
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中耳腔の疎通は3つのルートより乳様洞,蜂巣にひらき空気は流れる。中耳腕病変は中耳腔疎通を障害する。atelectatic earは鼓膜性状の変化から,中耳腔貯留液の有無.閉塞部位等,鼓室内病変を正確に把握できる。これらの例に通気を行うと,通気後の鼓膜に中耳病変により種々特徴的な膨隆が観察できる。いいかえるならば,通気後の鼓膜の変化は中耳腔病変,特に疎通の障害の存在を示唆する所見であるといえる。従って,通気法は単に耳管のみならず,中耳腔の疎通障害を診断できる。この際注意すべきことは,中耳腔が貯留液により閉鎖腔となっている場合には耳管の病変に関係なく中耳腔への流れが疎害され,通気はできない点である。診断に際してこの点への配慮を忘れてはならない。
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