鏡下咡語
日本耳鼻咽喉科学会総会を終えて(1)
立木 孝
1
1岩手医科大学
pp.864-865
発行日 1982年10月20日
Published Date 1982/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209515
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第83回日本耳鼻咽喉科学会総会が終わって2カ月半が過ぎた。わずか2カ月余り前のことであるのに,それはもう何年も昔の出来事であったように遠いものに思われる。
学会(学術講演会)をお世話する側からいうと,学会の準備や運営は,ある面では演劇の上演に似ているところがあるように私は思う。脚本を書き,スタッフをそろえ,練習を重ねてある日上演にこぎつけるが,幕が上がり幕が下りてしまえば,あとには何も残らない。舞台装置は無情にも次々とこわされ,スタッフは解散し,2度と再び同じメンバーで同じドラマを上演することはない。それはHans Carossaが "Leben ist eine Zusammenkunft,zu der immer nur eine begrenzte Zahl auf einmal geladen ist,und nie wird die Einladung wiederholt" と書いた人生の一つの縮図のようでもある。学会が終わった時に感ずる一種独特なむなしさ,わびしさが,そのことをよく説明してくれている,と私は思う。
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