特集 耳鼻咽喉科MEの進歩
X.医用システム
救急医療システム
益子 邦洋
1
,
大塚 敏文
1
,
丸茂 裕和
2
Knihiro Mashiko
1
1日本医科大学救命救急センター
2東京都医師会救急医療対策委員会
pp.979-984
発行日 1981年10月20日
Published Date 1981/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209353
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I.はじめに
救急医療という問題は古くからあるにもかかわらず新しいテーマの1つである。近年の医学の進歩には目ざましいものがあるが,その中で救急医療は,ともすれば高度に細分化した専門医師の片手間的仕事として取り扱われてきた。また一方では,救急医療が採算の合わないものであるという理由で公然と救急を扱わない公的医療機関も存在していた。その結果として,「救急患者のたらい廻し」が新聞などを通じて大きく報道され,全国的な社会問題にまで発展して行ったのである。このような歴史的背景から日本の救急医療システムは根本から考え直され,昭和51年,厚生大臣の依頼を受けた救急医療懇談会は救急医療対策のあり方について検討を重ね,「当面とるべき救急医療対策について」を発表した。政府はこれを受けて昭和52年度予算の中に総額102億円の救急医療対策費を計上するに至り,日本の救急医療システムは再編成への第一歩を踏み出し,システムの整備が進められ,現在全国の各地区において実施されているようになったわけである。ここでは日本の救急医療システムの概要を示し,さらに東京都で実施されている救急医療システムを具体的に解説する。
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