特集 救急医療計画
救命救急センターのシステムと役割
大塚 敏文
1
ŌTSUKA, Toshifumi
1
1日本医科大学救命救急センター救急医学
pp.829-833
発行日 1980年12月15日
Published Date 1980/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206203
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■はじめに
近年,救急医療の社会的ニードが高まり,厚生省をはじめ各地方自治体の努力と,また一方では日本医師会や各地区医師会の積極的な相互協力により,救急医療に対応すべく施設の設立,整備が着々と進んでいる.東京,大阪などの大都市から全国の中小都市に至るまでかなりの数にのぼる救急医療施設が開設され,診療を開始しており,既設の救急医療機関とともに,救急患者に対する診療体制はますます充実してきている.特に従来問題提起されていた休日や夜間の救急患者に対する休日夜間診療所や,心肺危機を伴う生命に危険のある極めて重篤な救急患者に対応する救命救急センターが24時間態勢で治療に当たっており,専門医不在や設備不十分などの理由で,しばしば話題となっていた"タライ回し"を昨今ほとんど耳にしなくなったことは喜ばしい限りである.
しかし一方,現在に至るまで,わが国のほとんどの医科大学,医学部においては,救急医療に関する教育に対し,卒前あるいは卒後教育の課程で系統的な救急医療の講義はもとより,実地修練の場さえ与えられていないのが実情であり,各地の救命救急センターをはじめ救急医療機関の医師は,実地診療に当たり当惑することが多々あるのではないかと考える.
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