特集 耳鼻咽喉科MEの進歩
VI.観察記録
血流測定装置
松永 亨
1
Toru Matsunaga
1
1大阪大学医学部耳鼻咽喉科
pp.853-859
発行日 1981年10月20日
Published Date 1981/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209334
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I.はじめに
神経耳科学領域に関係する各種疾患部位は,主として椎骨脳底動脈より栄養を受ける。したがって,この血管系の循環動態を知ることは,臨床上極めて有用である。とくにめまいを訴える患者において椎骨動脈の循環動態を知ることは,診断・治療上有意義である。
1945年Ketty & Schmidtが全脳の循環動態把握のため,N2O法を開発して以来,種々の方法が用いられてきた。1960年はじめIngvar & Lassenが133Xe-clearance法として、拡散性放射性同位元素を用い,detectorの改良とともに,局所脳循環動態が把握されるようになった。さらに最近はCT-Scanを利用し,positron cameraとして,局所脳循環と同時に局所酸素代謝が計測されつつある。これらの方法は定量的であるが,その循環動態の測定は非連続的であり,また脳注入動脈,脳血管の形態的な状態に関しては,間接的にしか把握できないので,X線脳血管写(頸動脈写,椎骨動脈写)が必要である。さらに,これらの方法は内頸動脈流域の局所脳循環動態に関して,正確な情報を得ることができるが,椎骨脳底動脈流域の局所脳循環動態に関し,なお考慮の余地がある。一方脳血管写はかならず観血的手技を必要とし,また副作用が全くないわけではない。このような点から,血流検査法が脳・内耳への循環動態を間接的に把握する方法として取り挙げられる。
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