特集 耳鼻咽喉科MEの進歩
III.口腔
電気味覚計
冨田 寛
1
Hiroshi Tomita
1
1日本大学医学部耳鼻咽喉科
pp.773-779
発行日 1981年10月20日
Published Date 1981/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209323
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.電気性味覚
舌にμA単位の弱い直流の電気を通ずると,陽極では主として酸っぽいような,金属をなめたような味がする。この電気味覚は,陰極よりも陽極の方が味の性質もはっきりしているし,閾値も低い。
この電気性味覚の成因に関しては,唾液の電気分解によるとする説と,味細胞を支配する神経,あるいは味蕾周辺にある神経終末を直接刺激するとする説があるが,昨年船越1)は,電気刺激により舌面上に存在するイオンは電気泳動的に味細胞の方に移動され,直ちに強制的に味覚受容サイトにはめ込まれ,その味細胞特有の興奮を惹起するという電気泳動性強制結合説を発表した。この説に従えば,陽極刺激では陽イオンが,陰極刺激では陰イオンが,交流電気刺激では陰陽両イオンが交互に味細胞の対極の受容サイトにはめ込まれることになる。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.