特集 耳鼻咽喉科と感染症
IV.感染症の諸問題
消毒薬の現況と展望—フレキシブル喉頭ファイバースコープを中心に
齋藤 誠次
1
Seiji Saito
1
1慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科
pp.877-880
発行日 1980年10月20日
Published Date 1980/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209163
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I.はじめに
近年,フレキシブルファイバースコープの発達により従来から使用されてきた硬性鏡に代わってその普及度は徐々に増加しつつある。フレキシブルファイバースコープの利点は何といっても患者にそれほど苦痛を与えることなく診断または組織切片採取等が可能であること,記録の面でも容易に残せるという点である。
しかし,このようなファイバースコープも消毒の面では従来あまり関心がもたれていなかった。近年院内感染という問題がとりあげられ,耳鼻科領域でも新たな問題を提起しつつある。院内感染を歴史的にみると,1950年代米国ではサルファ剤,ペニシリンなどの化学療法剤が使用され始めた時代に,これらの薬剤に対してブドウ球菌は徐徐に耐性を示すようになってきた。これが今日いわれているような耐性ブドウ球菌で,当時アメリカでは院内感染の主役を演じていた。
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