特集 耳鼻咽喉科と感染症
IV.感染症の諸問題
悪性腫瘍と感染症
中山 一誠
1,2
Issei Nakayama
1,2
1日本大学医学部第3外科
2ジョージワシントン大学医学部
pp.831-835
発行日 1980年10月20日
Published Date 1980/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209156
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I.はじめに
近年における麻酔,補液および抗生物質をはじめとする治療学の目覚ましい進歩により,感染症の質と予後が大きく変貌してきた。
最近の感染症の特徴は,以前には非病原菌とされていたlow virulenceの微生物や,各種抗生剤に対して耐性の細菌による感染症が注目され,その数は著しく増加傾向にある。これらの多くはopportunistic infectionとして一括される。悪性腫瘍患者においても例外なく同様の傾向にあり,一般的に免疫能の障害が共通現象として認識されており,細胞性免疫障害が主体であるが,体液性免疫に障害を示すもの,あるいは両者に障害の認められる場合もある。したがって悪性腫瘍患者においては,細菌感染症ばかりでなく,真菌,ウイルス,原虫など,まさに感染症は時代とともに質的に変貌しつつある2,6)。
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