特集 今日の耳鼻咽喉科
日常診療に必要な知識
薬物
めまい剤の選択と用法用量
朴沢 二郎
1
1弘前大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.847-850
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208977
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I.めまいの薬物療法について
まず,めまいの薬物療法に対する筆者の考えを述べ,その後,本論に入りたいと思う。
めまい剤の種類は多く,一々商品名を挙げれば数え切れない程ある。しかし,どの薬をとつてみても不思議なことに,その最大有効率は75%前後である。たとえ薬理作用がめまいの機序に理論的に合致したとしても,これが必ずしも額面通り生体に受け入れられるとは限らない。投入経路の差によつても効果は異なるであろうし,生活条件によつても症状が左右されてくる。また,服薬中症状の自然緩解がないともいえない。患者の食事や,生活状況を正確に把握できないまま,外来で慢然と行なつている薬物療法を正しく評価することはきわめて困難である。一般に唯症状がよくなればよいといつた安易な気持で薬物療法が行なわれているのが現状である。そのためめまいの治療にもつとも必要な医師と患者との意志の疎通が仲仲得られない。これが薬物療法の宿命的欠陥ともいえよう。筆者は外科的療法の対象となるめまいには,まず手術を主とし,時宜に応じて薬物を投入するという方針をとつており,薬物療法はいわば補助手段と考えている。
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