カラーグラフ 目でみる耳鼻咽喉科
私の扁摘術
蔣 中山
1,2
1横浜船員保険病院耳鼻咽喉科
2横浜市立大学耳鼻咽喉科
pp.92-93
発行日 1978年2月20日
Published Date 1978/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208613
- 有料閲覧
- 文献概要
口蓋扁桃摘出術(以下扁摘と略)は,耳鼻科医が最初に手がけ,最後に卒業する手術である。外科の虫垂切除術に似て,ごく簡単なものから,癒着,出血がひどくて,摘出しにくいものに至るまで,千差万別であり,術後出血にもよく悩まされる。事実上,扁摘が耳鼻咽喉科における医療事故の第1位(1963年までの15年間東京監察医務院事故死報告書;吉村,1963ならびに1945〜1959年,耳鼻咽喉科領域の法医解剖報告書;ウィーン大学,Mayer,1959)を占めることからも,簡単といえど,慎重には慎重をかさねたい。
また,扁摘の適応となる扁桃は,病巣をかかえ,手術が乱雑であればある程,病体に与える損害は大きい。それこそ,なめる様に,きれいに剥離して摘る技術は,芸術的境に入り,幾ら学んでも学び尽くすことはない。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.