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I.緒言
発声機能検査には種々あるが,音の源となる声帯振動の観察はもつとも重要な検査法の1つである。従来,声帯振動の観察には超高速度映画撮影,ストロボスコピー,グロトグラフィーの3つの方法が採られている。声帯は普通の会話時,男性では100〜150Hz,女性では200〜300Hzの振動をなしている。このような現象を克明に観察するには超高速度映画に優るものはないが,ストロボスコピーは簡便で経済的であり,その装置も小型である。それ故,振動している声帯を静止状態またはスローモーション状態で観察できる言わば日常診療における時間的顕微鏡とみなせるものである。
1855年Manuel Garcia1)が初めて自分の発声中の声帯振動を鏡で観察し,やがてこの方法がCʐ3ermakとTuerk1)によつて喉頭鏡検査法として臨床に取り入れられた。1878年にÖertel2)は,Plateau(1829)1)のストロボスコープの原理を喉頭に応用して回転円盤式ストロボスコープで声帯振動を観察した。これが喉頭ストロボスコープの歴史の始まりであり,この時より音声生理学に新たな歴史が始まつたと言えよう。間もなくÖertcl2)はストロボスコープによる声帯振動の映画撮影に成功して,その成果を発表している。その後,Musehold3),Tarneaud4),本邦では切替5)が同じような回転円盤式喉頭ストロボ映画撮影法による声帯振動に関する報告をなしている。この時代の機械的ストロボ装置では,観察や撮影は声帯が規則正しく振動している場合に限られていたが,1937年Kallen6)により電気的ストロボスコープの開発が始まつて以来,多くの研究者が病的喉頭の不規則な声帯振動に同期可能な装置を作製すべく努力してきた。今日の電子回路による自動制御喉頭ストロボスコープはBeckとSchonharl7),ならびにTimcke8)によつて築かれたものである。病的喉頭の全般にわたる研究はSchonharl1),広戸9),平野10)の報告があるが,特にSchonharl1)の"Die Stroboskopie"は検査法,正常,病的喉頭の所見などを網羅した成書となつている。われわれは過去12年間TimckeのKS-3を用いて音声の研究ならびに発声障害の検査を行なつてきたが,種々の点で改良の必要性を感じ,今回新機軸を組み入れた改良型喉頭ストロボスコープを作製したので,装置の特長ならびに概要を報告する。
The authors introduce and describe an improved model of laryngostroboscope. The main feature upon which this contrivance is operated consists in the simple handling of a pedal, whereby it is possible to select and hold the synchronized light sourse. The main feature of the function of the equipment may be summarized as follows: Automatic synchronization of illumination with vocal vibration; easy connection of several fiberscope on fiver light-guides simultaneously to the light source; photographing by a single flash of any phase of the vocal vibration and videotape recording of the vibrating vocal cord; and, the marking of the phase point in the sound wave pattern on oscilloscope simultaneously with photographing of the vibrating vocal cord.
In addition to above features it is capable of making observation of th vocal vibration under an ordinary room illumination by adopting a high radiant pulsed xenon flash tube and also read all frequencies by digital indication.
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