特集 悪性腫瘍
頭頸部腫瘍の最近の動向
佐藤 武男
1
1熊本大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.699-706
発行日 1975年10月20日
Published Date 1975/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208255
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I.はじめに
頭頸部悪性腫瘍の基礎と臨床を1950年代と1970年代を比較してみると,この20年間に格段の進歩がみられる。その理由の1つに1960年代から始まつた頭頸部腫瘍研究会1)を中心とした各会員の努力があげられよう。手術治療,および放射線治療技術の進歩も高く評価されるが,その基礎となつた種々の知見も忘れることができない。すなわち頭頸部悪性腫瘍の疫学調査,臨床病理の解明,電顕的研究の進歩,抗生物質の開発,輸液,高カロリー輸液法の進歩,麻酔学の恩恵,各種抗癌剤の開発などであり,最近では腫瘍免疫に関する基礎的知見もすでに一部では治療に導入されている。
また国際的に1960年代からTNM-systemが普及し,頭頸部腫瘍にもその分類試案が用いられるようになつた。1974年にはUICC発行のTNM classification of malignant tumours,second edition(Geneva2))が示され,これをもとにしてさらに検討が行なわれ始めた。
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