特集 症状からみた検査のすすめ方
咽喉頭異常感
三宅 弘
1
1名古屋大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.703-709
発行日 1974年10月20日
Published Date 1974/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208127
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I.はじめに
私は以前は,中年女性に咽喉頭異常感が比較的多く訴えられることから,漠然とそれが更年期障害の一症状ではなかろうかと考えていた。その根拠は,当地方における咽喉頭異常感患者の性,年齢別頻度を調査した際,頻度曲線のピークが女性の50〜54歳にあることを知つたからで,このピークはまさに日本人の平均閉経年齢に一致したからである。そこで異常感と更年期障害との関連性にある程度の確信をもつてさらに追及したが,研究の結果その予想は見事にはずれて,常識的な予測が常に必ずしも当るものではないという一つの教訓を得た経験をもつている。
以上のようなことから今度は先入観なしに咽喉頭異常感と再び取り組んで,紆余曲折ののち現在では異常感患者の病像についてある程度の見解を得るに至つた。そして病像の複雑な異常感患者の診断と治療の道程には,要領のよい検査を行なうことの必要性を感じたので,この機会に私の考える検査の進め方について述べてご意見をうけたまわりたいと思う。なおその際,編集部の「誰にもできて簡単で結果の判断が容易であるほど役に立つ検査である」という考え方に沿つてゆきたいので,特殊な検査についてよりもむしろ問診と一般検査に重きを置くことにする。
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