特集 症状からみた検査のすすめ方
呼吸困難(せきを含む)
日野原 正
1
1独協医科大学気管食道科
pp.715-720
発行日 1974年10月20日
Published Date 1974/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208129
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I.はじめに
耳鼻咽喉科領域,とくに気道疾患において呼吸困難を訴えて来院するケースは多く,単純なものから致死に至るまで,様々な疾患がその背景にある。実地医家はまずその呼吸困難がどのような疾患からくるのか,原疾患をすみやかに診断し,適切な処置を施す必要がある。呼吸困難の治療は急性,慢性,外科的,内科的疾患を問わず,1)気道の確保,2)酸素療法,3)換気補助の3原則が考慮されねばならないが,そのためには呼吸困難の臨床的種々相をよく熟知し,適切な臨床的検査によつて原疾患を診断しなければならない。
従来,われわれは呼吸困難を気道疾患として取り扱い,眺めてみる傾向があつたが,これは耳鼻咽喉科を専門とする実地臨床の立場から,必然的に気道疾患を取扱う場合が多く,適切な処置を義務ずけられた結果に他ならない。耳鼻咽喉科領域の呼吸困難についてはすでに諸家によつて論述しつくされているので,その重複をさけ,ここでは呼吸困難をもう一度全身的な生理機構の上から眺め直して,どのような疾患があるかをみ,その中から改めて他科に依頼するもの,耳鼻科医の処置すべき疾患を判別することを心掛け,それに必要な臨床検査の順序を考えてみることとする。
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