特集 症状からみた検査のすすめ方
嗄声
広戸 幾一郎
1
1九州大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.695-701
発行日 1974年10月20日
Published Date 1974/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208126
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嗄声に対する臨床検査は,嗄声を来たしている疾患の診断治療を目的とする場合と,嗄声そのものの治療を目的とする場合とでは異なる。また,対象が声楽家である場合と一般患者である場合とでも検査の要求度は異なつてくるが,ここでは一般患者を対象とするものとして述べることとする。
嗄声を訴えて来院した患者に対する検査の手順は,1)病歴聴取,2)嗄声の聴覚印象による分類(これによつて疾患の予測をする)。3)喉頭の高圧X線検査,4)間接喉頭鏡検査,5)必要に応じてストロボスコープによる検査,6)腫瘍を疑えば生検を行なう。ここまでで診断は概ね確立する。嗄声を来たしている疾患がポリープ,癌腫,反回神経麻痺など器質的変化の著明なものでなく,また患者が特に嗄声の改善を要求している場合には,次の如き機能的検査を追加して行なう。7)発声持続時間,肺活量測定,8)話声位ならびに声域測定,9)以上検査時の音声の録音,10)必要があればphonogramの作成を行なう。
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