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Ⅰ.まえがき
咽喉頭部に異常感を訴えて来院するものは年々増加しているといわれているが,近年知名人の喉頭癌,食道癌による死亡もあり,またマスコミによる医学知識の普及もあつて,本症状を訴えるものは,さらに急増しているように思われる。本症状を招来する原因については研究も急速に進展し,その文献も枚挙にいとまがないほどである。本症状を主訴として来院するものは症状も軽微でごく簡単に治癒するものも,また仕事も手につかず夜も眠られないという重症のものまで様々なものが含まれている。その症状の原因になつている疾患も急性あるいは慢性上気道炎のように単純なものから,種々の精密検査を行なつても,その原因疾患を見出すことのできないものまで多種多様である。いずれにしても毎日来院する患者はどのような背景の中にあるのか,来院するものは本症状を有するもののごく一部分であるのか,本症状を有するものの頻度はどの位あるのか,あるいはこのような症状を有するものの中に該部の初期癌のようなものがあるのか,私は今回このような観点に立つて咽喉部異常感を訴えるものの実態を調査し,若干の検討を行なつてみた。対象は長野県の山間部の一農村で,この中からすべてを類推することはできないかも知れないが,本症状を有するものの実態の一部をうかがい知ることができると思うので,ここに御報告し,御批判を仰ぐしだいである。
The entire adult population of a certain country village of Nagano-Ken numbering 2,827 individuals was screened for laryngeal pathology. Two hundred sixty one individuals of this number (9.2%) were found to have some laryngeal complaints and these people were subjected to a more detailed examination for substantial basis for their symptoms. In greatest number of cases the inflammatory condition of the upper respiratory tract appeared to be the cause of the laryngeal symptoms. There was 1 case of thyroid cancer and another case of suspicious thyroid cancer.
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