特集 症状からみた検査のすすめ方
難聴
大和田 健次郎
1
1東京学芸大学特殊教育研究施設
pp.633-636
発行日 1974年10月20日
Published Date 1974/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208116
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I.はじめに
検査は主として診断を目的として行なわれる。何を検査するかを決めるには,診断の予測が必要であつて,検査してから考えるということは正しい検査とはいえない。
検査にはそれぞれ目的があつて作られており,検査を組合わせて診断することになる。正しい診断を行なうには,各検査によつて何がわかるかを確かめておくべきである。また良い検査方法とは,使用機器が簡単で,誰にでも実施でき,結果の判断が容易で,短時間にできるものであろう。
一方診断にも順序があり,大別から小分類まであり,検査もそれに従つて難易がある。検査結果が明確に意味づけられるものと,その検査だけでは確実なことがいえないということがある。検査の方法も,手近かな器具でできるものから,大きな設備を要するものまであり,それぞれ検査の限界も出てくる。しかし検査は簡単な方法で確実な結果が得られることが望ましい。
このような見地に立つて,聴力の検査をふり返つてみたい。聴力検査は決して新しいものではないし,衆知のことが多いので,ここでは一つの検査方法でどの様なことがわかるかを整理してみたいと思つたのである。
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