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I.はじめに
喉頭および上部気管は,下顎をひいた位置では,下顎および胸骨により保護され,後方は頸椎により保護され,また,筋肉,靱帯により宙づりの状態になつており,喉頭自体にも弾力性を有する点などの解剖学的要因により,外力から防禦されている。したがつて従来,喉頭および上部気管の損傷は比較的少ないものとされていた。しかし近年,交通事故の増加に伴い,喉頭気管外傷症例も増加の傾向にある。
喉頭気管外傷の治療は,受傷直後は気管切開による気道確保など,生命の保持に対する処置が第1となるが,この際同時に,または,救急処置を終えた後早期に,二次的に起こる喉頭狭窄に対する予防を考慮に入れた創傷処理がなされるべきで,この時期の治療の良否が,その後の喉頭狭窄の発現,程度を大きく左右するのであるが,実際にわれわれの教室を訪れる患者の多くは,この時期の処置が不適当であつたり,または,他の重篤な障害のために注意されることなく放置されたために二次的喉頭狭窄を起こしているものが多い。われわれは最近10例の喉頭気管外傷症例に遭遇したので,既報3例と併せてその概略を報告する。
Thirteen cases of laryngo-tracheal trauma, including the 3 previously reported, are reviewed. In eight cases out of these 13, the causative factors was traumatic lesion due to traffic accident and the 3 cases due to suicidal attempt.
The method with which surgical correction be made should be one that will answer the need of each individual case.
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