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I.はじめに
Bleomycin(以下BLMと略す)は1962年梅沢らによつてわが国で発見され,1965年市川らによつて臨床使用が試みられたすぐれた抗腫瘍剤である。特に,扁平上皮癌に卓効を示し,かつ,従来の抗癌剤に見られた白血球減少をはじめとする造血器障害を示さないなどの点から癌化学療法剤として一躍脚光をあび,頭頸部領域の腫瘍に広く用いられるようになつた。
一方,本剤使用中に副作用として起こつてくる間質性肺炎ないし肺線維症はしばしば致命的となることが報告されているが,その発生機転および予防,治療に関しては未だ十分解明されていない。
われわれは最近剖検例1例を含むBLM肺障害の3例を経験した。各例はそれぞれ異なる臨床経過をとり,BLM肺障害を臨床的に早期発見することのむずかしさを痛感させられた。ここにその経過を報告し,併せて本症の予防,治療に関して若干の文献的考察を加え,本症発生の予防に供したいと考える。
Three cases of lung injury caused by the employment of bleomycin (BLM) in the treatment of head and neck malignancy are reported. The etiology, the clinical and pathological aspects, the method of treatment as well as preventive measure of this complication are discussed.
All three cases were aged 65 or over; one case recovered but the other two died. The amount of BLM used did not exceed 300mg; in one case the amount was only 90mg.
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