嚢胞に対する造影法の新しい試み—造影剤置換注入法

A NEW METHOD FOR X-RAY VISUALIZATION OF CYST

　I．はじめに

　耳鼻咽喉科領域には嚢胞を形成する疾患が多く，術前にその性格，形態および広がりなどを知つておくことは手術手技上重要で，このための有力な手段として造影剤注入によるX線撮影法がしばしば応用される。

　通常穿刺により嚢胞の内容をできるだけ排除し，つづいて造影剤を注入するが，排除の途中陰圧による疼痛のために十分な内容の排除ができず，また造影剤注入時にも疼痛があつて，満足な充盈像が得られないことをしばしば経験する。

　この欠点を解消する方法として，私たちは造影剤置換注入法を考案し，実用上便利を得ているのでご紹介して，ご批判を仰ぎたい。

　It is relatively difficult to obtain a good visualization of the cyst in x-ray examinations. This difficulty lies in the fact that with better visualization greater the pain is given to the patient.

　The authors devised a method by which this painfulness is eliminated by a simple modification of the usual method.