小さな工夫
気管支造影剤を用いた膀胱二重造影法
山崎 義久
1
1三重大学医学部泌尿器科学教室
pp.504
発行日 1985年6月20日
Published Date 1985/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204065
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Hytrast®を用いた膀胱二重造影法は1969年10月に東海地方会で報告して以来,現在までに3,500例を越える症例に臨床応用してきた。対象となる疾患は新鮮な下部尿路外傷とVURおよび術直後の検査を除けばすべての下部尿路疾患が適応となる。特に膀胱腫瘍,膀胱憩室,膀胱頸部疾患,尿道狭窄,尿道奇型,尿道腫瘍,夜尿症などは本法による情報も多く,診断を目的とした検査として非常に優れた方法と考えている。造影剤の注入量は膀胱頸部疾患には10〜15ml,膀胱腫瘍には7mlぐらいが示適であり,空気注入量は前者は最高尿意近くまで注入し,後者は150mlと定めている。特に後者は造影剤が多いと読影の邪魔になることもあり,他の腫瘍陰影を見逃すこともある。また膀胱を完全に空虚にすることが肝要であり,体位の変換はゆつくりと行う。手技に関しては泌尿紀要22巻P.594〜595,1976を参照されたい。なお尿道の撮影はLanger-Wittkowsky体位をとらせ,外尿道口からHytrastRを狭窄の存在する部位,あるいは描出したい部位まで静かにゆつくり注入し,ついで50mlの浣腸用シリンジで空気を間歇的に圧を加えながら尿道を拡張させる。前部尿道の場合は外部よりmanipulationするとよりよい映像が得られることがある。
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