特集 小児耳鼻咽喉科疾患
薬物投与の問題点
堀 誠
1
1国立小児病院内科
pp.837-851
発行日 1972年10月20日
Published Date 1972/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207847
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I.はじめに
医師の診断能力の決定,技術的な評価は,しばしば患者を治療する方法いかんによつて規定される。治療には,薬物療法を必要とすることもあるが,それを不用とするかもしれない。その選択はあくまで医師自身が決定すべきことであつて,両親や周囲の人びとによつて左右されるべきものでない。薬物療法は患者を治療する一つの方法ではあるが,その効果を十分にあげるためには,医師は用いようとする個々の薬剤の薬理作用,体内代謝などに関する特性を熟知していなければ十分な効果が期待できない。薬物療法の効果が不成功となる原因として,1)診断の過誤,2)不適当な薬物療法,3)投薬方法の誤り,4)体内での異常な蓄積,5)不十分な全身状態の把握などがあげられる。
ことに小児期の薬物療法は発達段階にある者を対象とするので,薬物の種類と患者の年齢などの組合せにより,適正使用量,副作用の出現などに大きな相違があり,その点を考慮しつつ薬剤療法を行ない,不快な副作用を防止するとともに所期の目的を果たすよう努力すべきであろう。
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