特集 最近の顔面神経障害の基礎と臨床
顔面神経移植術について
北村 武
1
1千葉大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.817-825
発行日 1971年10月20日
Published Date 1971/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207701
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I.はじめに
顔面神経は単純な運動神経でなく,そのなかを知覚神経,自律神経が通つており,涙の分泌,味覚と関係がある。側頭骨を出てからも浅耳介側頭神経から耳下腺分泌を司つている副交感神経が来ている。移植に当つてはそれらの運動神経以外の機能は無視されるが,顔面筋にトーヌスが出,運動が回復し,表情運動も戻るので,社会生活には支障がなくなる。
顔面神経の手術は麻痺したとき舌下神経,副神経と吻合することから始まつた。それでは病的な協同運動も強く,表情運動もないので移植が始まつた。1930年Bunnel,1934年BallanceとDuelによつて行なわれた。その後Cawthone,Kettel1),Tickle,Sullivan,Shambough,Lathrop,McHugh,Conley,Miehlke2),Pulxec3),Gibb4),Scaramella,Drakeその他によつて行なわれている。
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