Japanese
English
特集 脂肪移植の新展開――基礎から臨床へ
脂肪移植による顔面再建
Facial reconstruction by fat grafting
吉村 浩太郎
1
Kotaro YOSHIMURA
1
1自治医科大学形成外科
キーワード:
顔面変性疾患
,
脂肪移植
,
顔面再建
Keyword:
顔面変性疾患
,
脂肪移植
,
顔面再建
pp.131-134
発行日 2022年10月8日
Published Date 2022/10/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28302131
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
脂肪移植が適応される顔面変性疾患(顔面脂肪萎縮症)として,パリー・ロンベルグ(Parry-Romberg)症候群(hemifacial progressive atrophy or idiopathic hemifacial atrophy),深在性エリテマトーデス,強皮症,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染に伴う脂肪萎縮などが知られている.また顔面の発達異常を伴う先天性疾患として,第一第二鰓弓症候群(hemifacial microsomia)などがある.さらに,交通外傷などによる顔面や頭蓋の後天性変形にも脂肪移植が利用されるようになった.これらの陥凹変形は外見上の問題から社会的な不利益を抱えるため,整容的な再建治療が行われる.従来は遊離皮弁移植による組織増大治療が標準とされてきたが1),近年では脂肪移植による再建がむしろ主流となりつつある2,3).脂肪注入移植法は採取部や移植部に瘢痕を残さない,自家組織のため異物に伴う後遺症がない,皮弁移植に比べて形態形成の自由度が高い,侵襲が小さく短時間の手術である,などの利点がある.従来は生着や確実性に問題があるとされてきたが,この15年で脂肪生着のメカニズムが明らかになり,それに基づき採取,前処理,移植技術などが改良され,脂肪移植の確実性,有効性が高くなり4,5),脂肪移植術の施行数は近年,増加の一途をたどっている.
Copyright © 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.