特集 耳鼻咽喉科診療の経験と批判
鼻副鼻腔アレルギー
佐々木 好久
1
1駿河台日大病院耳鼻咽喉科
pp.771-776
発行日 1970年10月20日
Published Date 1970/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207533
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Ⅰ.鼻アレルギーの診断について
私は先人の教える所にしたがつて,鼻汁中に好酸球が5%以上陽性に出ていれば,鼻アレルギーとしている。しかし1回の検査に陰性であつても,鼻アレルギーを否定することはできないようだ。頻回にわたつて繰り返し検査が必要の場合もある。
一応,鼻アレルギーであることが分れば,抗原は何かということになる。まず皮内テストであるが,これで陽性に出ても確定的ではない。鼻アレルギーは鼻という局所に限局して発症するものであり,前腕皮内の反応がそのまま鼻の反応状態を示すものとは限らない。そこで誘発反応とも呼ばれる鼻内テストが必要になつてくる。この鼻内テストの陽性はアレルゲンの決定に重要なものとなるが,花粉症の場合,花粉アレルギーを発症している時期と,その季節をはずして検査した場合では反応の発現も異なるようである。抗原となる花粉をその花粉の存在しない時期に吸入しても,何ら症状を発生しないが,花粉期になるとごく少量でもアレルギー症状を起こすことがある1)。
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