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Ⅰ.緒言
Godman & Churg(1954)1)が,Wegener氏肉芽腫症のTriasとして,1.呼吸器系の壊死性肉芽腫化病巣,2.全身の壊死性血管炎および3.糸球体腎炎なる病理組織学的所見を定義づけてから長い年月が過ぎ去ろうとしている。ことに,ここ5年間における国内外のかかる疾患に関する臨床報告は,目立つ様になつてきたにもかかわらず,その病因論に立つての追求はほとんどないといつても過言ではなかろう。さらに耳鼻科医がしばしば経験する本症例は,上述のごとき定型的なものよりもむしろ,不定型のWegener氏肉芽腫症に遭遇する事が多い。20世紀後半になつての著しい薬物の進歩により,これらの症状が,十分な治療を受ける事なくmanifestされている事が多い様に思われる.本症例の病因論として,従来,炎症説,腫瘍説および膠原病説などが唱えられ研究されてきた。すでに私どもは,不定型のWegener氏肉芽腫症について,尿中アミノ酸代謝異常から膠原病説と思われる症例2)を報告してきたが,この点については現在なお追求中てあるが,今回Wegener氏肉芽腫2症例について,すでにHaveman3)および石川4)らの報告に加えて,免疫血清学的に観察を試みたところ,いささかの知見を得たので,ここに報告する。
A study on two cases of Wegener's granuloma are presented. Particular attention is drawn to the problem of seromucoid, haptoglobin and immunoglobin. The questions on serum reaction and the disease incidence are also discussed.
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