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Ⅰ.緒言
Wegener氏肉芽腫は,比較的まれな疾患の一つで,その予後は不良であると共に病因論的に明確なる究明がなされていないところに,われわれ臨床医には興味のある所似である。また,近年,その類似疾患と思われる症例の報告に遭遇するに至り,ますます注目されてきた。わが国においては,いわゆる,進行性壊疸性鼻炎として報告されているものの中に,全身性諸臓器に変化をきたす疾患もかなり含まれていた。1936年Wegenerの報告以来,一つの独立疾患として取り扱う傾向になり,わが国における本症例の報告が目につくようになつた。しかし,GodmanおよびChurg1)の主唱するその病理組織学的特徴としての 1)上気道および肺の壊死性肉芽性病変,2)全身性の壊死性血管炎,および 3)糸球体腎炎の像のすべてを呈するものが少なく,治療によりある程度寛解されることから,不定型のWegener氏肉芽腫症の存在も考えられ,私どもの頭をなやますところである。また本症の病態として,従来炎症説,腫瘍説および膠原病説などが唱えられ,研究されているが,いまだその本態は不明確な状態である。ここに私どもは,比較的早期に本症を予測し,種々の治療を施したにもかかわらず,鬼籍に入つた,Wegener氏肉芽腫症の一亜型について,剖検結果とともに,上述の幾多の説の中でも膠原病説をうらづける症例を経験したので報告する。
A case of Wegener's granulomatosis found in a 17 years old female is reported. The patient finally died of uremia after 2 years of suffering with original disease. The patient revealed a history of chronic sinusitis which apparently was continued with purulent sanguinous nasal discharge at present complicated with dyspnea and nephrotic involvements. Laboratory examination showed and increased γ-globulin in the serum and presence of abnormal amount of urinary tryptophan and tyrosine with a generalized aminoaciduria.
The treatment cosisted of 60Co irradiation, a long term administration of steroids and cyclophosphamides. Artificaila kidney was also tried.
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