特集 耳鼻咽喉科手術の危険度
鼻
鼻副鼻腔外傷
高橋 良
1
,
内田 豊
1
1東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.771-778
発行日 1969年10月20日
Published Date 1969/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207357
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鼻副鼻腔外傷は,最近急激に増加している交通外傷と比例して増加し,私ども耳鼻科医がこれにタッチする機会も以前に比較すればはるかに多くなつている。しかし顎顔面外傷に含まれるこの鼻副鼻腔損傷それ自体の処置ももちろんであるが,局所解剖的に明らかなように狭い場所でありながら各種の感覚器が隣り合せに位置し,かつ顔面という人目につく場所であるという特殊性から,周囲境界領域に与える影響,また逆に周囲から与えられる影響の,この両者を考えたうえでの処置が必要となつてくる。
顎顔面外傷についてのわが国の報告も近年多くなつてきているが,鼻副鼻腔を扱つたものは必ずしも多くはない。そして耳鼻科医が扱う場合の危険性といつても,どこまでが守備範囲として手をつけてよいのか,自己の領分における手術手技そのものに伴う危険性もあれば,境界領域に踏み込み過ぎたための危さも出てくる。こういつた点を考えながら耳鼻科医の目でみた鼻副鼻腔外傷の処置に際しての危険性について述べてみたい。
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