特集 耳鼻咽喉科手術の危険度
咽頭
扁桃周囲膿瘍
立木 孝
1
,
本間 利美
1
1岩手医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.779-780
発行日 1969年10月20日
Published Date 1969/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207358
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扁桃周囲膿瘍は抗生物質の出現以前はかなりの頻度でみられ,またその経過中に重篤な合併症をみた報告も少なくないが,抗生物質の普及に伴つてその数は激減した。本症は特有の症状,所見などから診断は容易であり,膿瘍腔の切開排膿で,激烈な症状も速やかに治癒に導き得るのであるが,しかし外来で簡単に行なつている試験穿刺,あるいは切開なども,むしろ簡単であるが故に時に重篤な合併症をひき起こす危険が絶無であるとは言いきれない。
扁桃周囲膿瘍手術に際して如何なる危険が予想されるかというと,1)麻酔薬の塗布,注射による危険。
2)手術自体に基因する,すなわち試験穿刺,切開などによるいわゆる一次ショック。
3)術中,または術後に起こる出血。
4)術後に起こる他の合併症。
以上の4つが考えられるが,麻酔薬の塗布,注射による危険は,他の咽頭手術の際と同様と考えられるので,ここでは触れず他の3項について以下に述べる。
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