カラーグラフ 目でみる耳鼻咽喉科
鼻副鼻腔とIgA
茂木 五郎
1
,
渡辺 徳武
1
1山口大学耳鼻咽喉科
pp.968-969
発行日 1978年11月20日
Published Date 1978/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208822
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鼻副鼻腔粘膜を被う分泌液には免疫グロブリン,分泌因子(SC),ラクトフェリン(Lf,鉄分子を含む蛋白で抗菌作用がある)など,生体防御の働きをむつ蛋白があり,これらの多くは粘膜局所で産生され,分泌液中へ放出される。
第1図は鼻分泌液中のIgAおよび遊離SCを示すが,IgAの正常人鼻分泌液中の濃度は60(47-75)mg/100mlで,もつとも多最に存在する免疫グロブリンである。第2図は鼻副鼻腔粘膜におけるIgA分布の典型像である。IgA産生細胞は主として上皮下(第3図A),分泌腺周囲(第3図B)および細血管周囲(第3図C)にある。分泌型IgAでは10SIgAと遊離SCが結合して形成されるが,SCは上皮層の分泌細胞(第4図A)および分泌腺(第4図B)で作られる。第5図は上皮細胞中の分泌型IgAないしSCを,また上皮下の10SIgA産生細胞を示す。Lfは分泌腺で産生されるが(第6図),上皮層の分泌細胞では作られない。IgGおよびIgM産生細胞は比較的少ないが,IgA産生細胞同様粘膜下や分泌腺周囲はに認められる(第7図)。
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