特集 耳鼻咽喉科CT診断
CTと解剖
鼻・副鼻腔領域
宮内 孝治
1
,
玉川 芳春
1
,
斎藤 裕
1
,
小川 敏英
1
Takaharu Miyauchi
1
1秋田大学医学部放射線科
pp.761-769
発行日 1982年10月20日
Published Date 1982/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209503
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I.はじめに
鼻・副鼻腔領域は,骨組織で囲まれた含気構造であるため,骨と空気のX線吸収の相違から,従来広く用いられている単純撮影,あるいは断層撮影でも,十分にコントラストが得られ,病変の存在を知ることが可能であった。しかし,CTはX線吸収差の検出能にきわめて優れ,骨や空気にとどまらず,軟部組織の描出にも大きな威力を発揮する。この軟部組織の詳細な描出は,従来のX線撮影ではなし得ないところであり,したがって,病変が鼻・副鼻腔周辺の正常構造といかなるかかわりをもち,あるいは骨組織を破壊して軟部組織に進展しているかを知るにCTが最も有用な検査法の1つといえる。病変部位および進展度を知ることは,特に悪性腫瘍の治療にあたり不可欠で,そのためにもCTの特微である体軸に直交する断層像(横断断層)のみならず,通常の断層撮影と同じ断面である前額断の断層像(冠状断層)を得ることにより,三次元的な病変の広がりの把握が容易となる。本稿では,鼻・副鼻腔およびその周囲の軟部組織を含めた横断および冠状断のCT解剖を述べる。
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