特集 耳鼻咽喉科手術の危険度
耳
鐙骨外科
中野 雄一
1
1新潟大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.714-718
発行日 1969年10月20日
Published Date 1969/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207344
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卵円窓にある鐙骨を手術的に操作したり除去することは,たとえそれが非常に慎重に行なわれたとしても,内耳は無影響であり得ない。本手術の施行にあたつては常に内耳障害の危険性を伴つていることを念頭におく必要がある。それゆえ本手術の危険度は決して少ないとはいえない。合併症の多くは内耳に対するもので,それも術後発来する場合が主である。すなわち過剰な手術操作や直接手術損傷により,術中あるいは手術に引き続いて引き起こされる内耳外傷よりも,遅発性の内耳障害を警戒する傾向にある。したがつてすべての手術操作は,予期せぬ内耳への影響を考慮して慎重に行なうべきである。
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