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Ⅰ.緒言
Békèsy型自記オージオメータによる聴力検査(以下単に自記オージオメトリー)における興味ある問題の一つは感音性難聴耳のかなりの頻度に認められる振幅の異常縮小である。しかしその振幅縮小の成因とその臨床的意義については現在なお不明の部分が残つている。この問題を解明するためには自記オージオメトリーにおける振幅を左右する種々の要因について一つ一つ検討してみる必要がある。自記オージオメトリーに際して,減衰速度が振幅決定上重要な意味を持つことは,すでにBékèsy(1947)1)も述べており,減衰速度を90dB/min.から220dB/min.に変えた時,絶対域値は影響を受けないが,DL(振幅)が増大することを認め,域値附近の音がfull loudnessに達するまでに0.5〜1秒を,さらにボタンをおすための反応時間に0.2秒を要すると述べている。したがつて減衰速度の大きい場合にこねらの時間的要因が振幅の増加の形であらわされると考えるのである。
その後自記域値記録上に認められる振幅と減衰速度の関係は,Corso2)が減衰速度0.5,1,2dB/sec.で,Epstein3)が1,2,3,6dB/sec.で観察している以外多くは市販の自記オージオメータにあらかじめ設置されている2種類の減衰速度によつて観察されたものである。最近,Harbert & Young4)は1,2,4,8dB/sec.の4種の減衰速度で振幅を測定し,興味ある成績を発表しているが,これに関しては後述する。著者らも広範な減衰速度による自記域値記録上の振幅の変化を観察し,自記オージオメトリーにおける振幅の構成について検討しようと試みた。しかし減衰速度を広範囲に変化させるためにはattenuatorを動かすモータの速度を変えねばならないが,広い範囲で連続的に変化させるためには,単にギヤ比を変えたりモータの供給電圧を変化させたりするだけではトルクの問題を十分解決しきれず,装置の点で実現が難しかつた。著者らは現在電子計算機の記憶装置などに盛んに使われているサーボ制御機構を応用した一つの新しいattenuatorのspeed controllerを試作し,きわめて容易にこの間題を解決し得たのでその概要とそれによる二,三の観察結果を報告する。
With the Békèsy-type audiometer set at 1,000 to 4,000Hz and the attenuation rate at 1,2,4, and 8db/sec, the relation of the amplitudes of these conditions are studied:
1) When the attenuation rate x is increased the amplitude y follows with an increase and the relation of the recovery of these two may be graphed as a straight line y=bi+aiX,
2) The ratio between the changing rate aiixand the attenuation rate represent the time required for the excursion of the amplitude,
3) bi may be interpreted as a threshold deviation of the duration of sound. The bi value appear to be highly decreased (1,000Hz~1.458 db, 4,000Hz-1.083db) only when nerve-deafness ear is stimulated with a continued sound. In other 3 conditions namely, a normal ear with sound stimulation interrupted or continued and/or nerve-deafness ear with interrupted stimulation appear to be about the same, 1,000Hz-2.320 to 2.565db, 4,000Hz-2.075 to 2.198db,
4) The graphic representation of the increase in amplitude that may be caused by attenuation increase show a sawtooth type wave and it is most characteristically shown on the top.
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